17年前、お店をオープンした時にはアルバイトの女の子ひとりと僕と浅野だけでした。
シモジマで買ってきた既成の紙袋にお客さまが買い物してくれた商品を入れて渡します。
ある日アルバイトの女の子が
『オーナー、ハンコ作れませんか?お店の名前が入ったやつ』
『何に使うの?』
『ショッパーに押したらお店の宣伝にならないかなーと思って』
自分のお店の袋を持ったお客さま
ペタペタ、時間があいたらハンコを押してくれていました。
そして後日、駅で電車を待ってる女の子がそのハンコを押した紙袋を下げて立っているのが見えます。
決して他の人への宣伝にはなるほどではないのだけど、僕には自分のお店の袋を持ったお客さまだということが一目でわかりました。
とても嬉しかった。
必要だと思って相談してくれた
うちで買い物をしてくれたお客さまを見つけることができたこともだけど、僕に『ハンコを作って』とアイデアを出してくれたことをとても感謝しました。
ハンコもお金がかかります。
お店を出してすぐの時は、本当に資金繰りが大変でした。
お店の稼ぎは家賃や光熱費とアルバイトの女の子の給料がギリギリ。
自分たちの生活費は他にアルバイトをして稼 いでいたくらいです。
だからそのスタッフも僕にハンコをおねだりすることすら簡単ではなかったと思うのです(お金ナイナイって言ってたから言いにくかっただろうな)
でも、必要だと思って相談してくれた。
それがとても嬉しかったです。
人生を豊かにする仕事 → ライフワーク
いつもその子は
『オーナー、儲かったらオリジナルの袋にしたいですねぇ』
と未来はこうしたい、こんな風になったらいいですねと僕に話してくれました。
まずは食べていかなくてなはならなくて、寝る間も惜しんでただ働いている自分。
でも彼女が気付かせてくれたのは、 夢中になって働くことの楽しさや大切さでした。
そしてその後『儲け』が出て、紙袋はめでたくオリジナルのショッパーとなりました。
『儲けたい!』心の底からそう思っていました
ネットショップをはじめて事務所を借りました。
コーナンで1900円くらいの事務用チェアを買いました。机もひとりひとつずつ買えなかったので3人で2つです。いい椅子を買って、ひとりずつ机を用意したいと思いました が、僕にはまだまだお金がありませんでした。
腰に持病を抱えているスタッフが入社して、クッションやブランケットで工夫しながら毎日その安物のチェアに座っています。言い出せないのです、お金がないことをなん となく察知しているから。
紙袋のことも、そう。
事務所の椅子も、そう。
本当はそうしたいと思っても、できなくて苦しい。
あの時は本当に『儲けたい!』心の底からそう思っていました。
僕は26歳で起業しましたが、たくさん資金があったわけではありません。
みんなでコツコツ稼いで、そしてその『稼ぎ』でオリジナルのショッパーを作り、椅子を買ったのです。
みんながやりたいことのために儲けていたい
みんなは会社が儲かっても自分にはあまり関係ないことだと思いますか?
僕はみんながやりたいことのために、儲けたいと思います。
うまく言えないけど、いつでもみんながやりたいことのために儲けていたいと思います。
今、事務所でみんなが座っている『赤い椅子』は 僕が腰痛持ちのスタッフに座って欲しかった、あの時みんなでがんばって買った椅子なのです。